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盆栽

「園芸と盆栽の違いは?」

地味な印象を持たれがちな盆栽ですが、実は近年、世代・地域を問わずその注目度が上がり続けています。

おそらく1990年代初めから加速し始めたガーデニングブームの影響でしょう。西洋庭園への注目が落ち着くと、園芸好きな人たちは次第に鉢物に注目するようになりました。日本にとって当たり前の水草類やシダ類、草花類も、海外に住む人々の目から見れば新鮮に見えるようです。

情感溢れる和の植物に惹かれた人の中には、それまでガーデニングにあまり強い興味を示していなかった男性も多くいました。草ものの盆栽が注目され始めたのは、いたって自然な流れだったのです。

最近は海外に住む人たちだけではなく、日本の若い世代にも盆栽ブームが広がっています。

特に苔盆栽や苔玉が人気で、今では専門店だけではなく雑貨屋などでも購入することが可能です。時折大量生産ゆえの粗悪な盆栽もありますが、気軽に盆栽に興味を持てるという点では良いきっかけかもしれません。

先ほど盆栽の知名度が上がり始めたのはガーデニングブームの影響だと述べましたが、厳密には「園芸」と「ガーデニング」の意味は異なり、盆栽も園芸のくくりの中にすっぽりとは収まりません。「ガーデニング」は一般的に「園芸」と訳されますが、おそらく「庭作り」と訳すのが正しいでしょう。ガーデニングには、単に植物を育てるだけではなく、全体の配置や庭全体のデザインの意味も含まれています。1つの植物をいかに美しく育てるかよりも、庭全体を1つの風景としてどれだけ美しく魅せるかが重要なポイントなのです。しかし「園芸」という言葉が持つ意味は、それとは少々異なります。

園芸の目的は、植物がより元気に長く成長できるよう世話をすることです。例え広い庭がなくとも、1つひとつの植物に対して丁寧に愛情を注いでいきます。

全体としての景観は、どちらかと言えば二の次なのです。かといって、決してガーデニングは植物への愛情が足りないと言っているわけではありません。ガーデニングも園芸もそれぞれ違う視点から植物のことを考え、最良の環境をつくろうと努力しているのです。

盆栽
盆栽は、樹を健康に育てるという点では「園芸」に近いでしょう。しかし育てる過程で様々な工夫を施し、鉢全体をデザインするという点では「ガーデニング」に近いとも言えます。

盆栽を仕立てる過程では、葉の茂み具合や色合いの調整や、一本の幹を強調するために他の枝や花の数を減らしたり等、空間的な技法も多く用いられます。

日本の盆栽が持つ形の種類や思想は、園芸ともガーデニングとも違う脈略の中で何百年もかけて積み重ねられてきたものなのです。結局、盆栽はどちらの枠組にもはめることのできない独自の文化であると結論づけるしかないのかもしれません。

盆栽
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