樹を作る喜び 剪定や針金掛けで矯正、改作などのこと
盆栽の最大の楽しみは、なんといっても技術を駆使して美しく仕立てることでしょう。多くの樹に用いることができる技術もあれば、樹に合わせた特別な技術もあります。まずは基本的な知識として、剪定方法や針金かけ、施肥、改作を抑えておきましょう。
剪定とは、樹の生育や実の付き具合を調整したり、枝葉の形を整えるために枝の一部を切り取る作業のことを言います。
次の年の花・実つきをよくするためにも剪定は重要な手入れの1つです。剪定を始める前に、まず理想とする樹の姿をイメージしてみましょう。生育のためだけではなく、時には見た目のバランスを損ねている枝を切り取ることも必要です。
そのような枝のことを「忌み枝」といいます。樹の種類によっては剪定による影響を強く受けるものもあるので、剪定を行う前には必ず育てている樹について調べるようにしましょう。
中には切り取るべきではない枝や、剪定を行うべき時期が明らかになっているものも多いです。
剪定で切り落とすべき枝はおおよそ決まっています。例えば枝や幹の同じ場所から複数の枝が出ている「車枝」や、枝が逆の方向に伸びてしまっている「逆枝」、枝や幹画同じ方向に2本出ている「重なり枝」などが挙げられるでしょう。
他にも「立ち枝、下がり枝」「かんぬき枝」「かえる又」「交差枝」などがあります。樹の性質として上の方が先端の芽の伸びが早いので、剪定する際は上の枝は短めに、下の枝は長めに切り取るといいでしょう。
針金かけとは、枝を整えるために枝や幹に針金をつける作業を指します。夏に施すことが多いです。
まずは剪定と同じく仕立て上がった盆栽の姿をイメージし、それに応じて枝を軽く曲げます。この時枝が堅いと折れてしまう事があるので、決して無理はしないようにしてください。
次に枝の3分の1程の太さの針金を、曲げたい枝の反対側の枝や幹にかけます。そこから針金を巻いて行くのですが、右へ曲げたい時は右巻き、左へ曲げたい時は左巻きにするようにしましょう。
巻き終わったら針金を切り、枝を曲げたい方向へ誘導してみてください。数十か月潤E数年かけて、針金の力で枝が曲がっていきます。
施肥とは、肥料を与えることです。基本的には春から秋にかけて行います。
花芽が出る時期はなるべく肥料は与えないようにしましょう。最後に改作についてですが、これはそれまでの盆栽の姿を大きく変えることを意味します。
新たに手を施し、1つの盆栽に存在している空間をデザインしなおすということです。改作前と改作後ではガラッとイメージが変化するので上級者向けですが、大変で長い道のりの分だけ大きな達成感を味わうことができます。