- 苔
- 蘚苔類 苔植物
- 苔は一年中の緑を楽しめます。
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- 多くの種類がある苔ですが、主に盆栽や観賞用、苔玉に用いられるのは数種類です。ホソバオキナゴケは観賞用に。ギンゴケは盆栽化粧、ハイゴケは苔玉に用いられます。鉢の上に苔をのせて楽しむ苔盆栽もそれらの苔が使用されます。
苔の種類
苔は大きく分けて3つの種類に分かれます。蘚類(せんるい)、苔類(たいるい)、ツノゴケ類です。
蘚類
葉と茎がはっきりとわかれているのが蘚類です。地面を這うように自生しています。ミズゴケやハイゴケなどがこれにあたりますが、苔玉に使用されることが多いです。これは、苔を貼り付け糸を巻いたときに、長い葉で糸が見えにくくなるので苔玉に適しています。また葉の成長とともに糸が隠れていきます。
苔はジメジメしたところが好きだと思われがちですが、蘚類は日光が好きな苔が比較的多いです。苔は体を支える根っこがありませんのでお互いを支え合い、集団を作って生息し広がっていきます。
苔類
ハイゴケなどの蘚類とは違い苔類は乾燥が苦手てじめっとした場所や水辺に生育しています。苔類の代表的な苔はゼニゴケですが、これは盆栽や園芸界ではとても嫌われています。盆栽の管理をしていると、風通しが悪かったりじめっとした環境で、勝手にゼニゴケが繁殖します。鉢の表面いっぱいにゼニゴケが広がり盆栽の生育を妨げます。盆栽界では、ゼニゴケがみつかるとすぐに駆除しています。ただ、よく見ると葉の形はクラッカーみたいでかわいくも見えるので苔テラリウムなどの鑑賞には適しているかもしれません。
ツノゴケ類
苔は世の中に2万種類近くあるといわれていますが、その中でも一番少ないのがツノゴケ類です。とんがった角状の胞子体をもっています。日本には生息数が少ないので目にする機会は少ないようです。
入手しやすい苔の種類
苔は自然にも生えていますが、私有地や公共の場所などで勝手に採取すると怒られる可能性もあるので注意が必要です。自生している苔を採取して別の場所に植えても、環境が合わない場合は根付かないこともあります。種類は少ないですが販売店で取り扱っているようなものは自家栽培で環境変化に強いものも多いのでおすすめです。
山苔(ヤマゴケ)
山ごけは盆栽の根元に化粧用として使われることも多い苔です。乾燥に強く、水分がなくなっても仮死状態で生存し、水を与えると再び生き返ります。夏の暑さと蒸れには弱いので風通しのよい場所で管理します。園芸店やホームセンターでも手に入る入手しやすい苔です。苔玉にも用いられます。暑さと蒸れに弱いので庭や庭園では生育環境が合わず使われることは少ないです。しかし、環境さえ合えばヤマゴケの美しさは、数あるコケ類の中でもトップクラスです。
這苔(ハイゴケ)
ハイゴケは、日本各地の湿度のある日当たりの良い土の上や岩の隙間などに群生して生息しています。土手や岩を這うように成長するので這苔と呼ばれています。形状は、黄緑色かやや茶色の羽状の茎を10cm前後くらいまで伸ばす茎が長めの苔です。長い茎なので苔玉にも適しています。高温多湿に強く耐陰性があるので室内での鑑賞も可能ですが、適度な日光は必要です。比較的初心者にも育てやすい丈夫な苔です。
しっぽ苔(シッポゴゲ)
しっぽ苔は、山林の半日蔭の環境に自生している苔です。ふさふさとした毛の長い葉の様子がシッポのようなのでシッポゴケと呼ばれています。冬の寒さや風には強いですが、夏の蒸れなどには弱いです。水不足になると茶色っぽくなってしまうので気を付けましょう。明るいきれいな緑色の苔なので苔玉にも使用されています。
スナゴケ(砂苔)
砂苔は、星形の苔が沢山あつまったような可愛い形状で、茎は3cm前後に成長します。北海道から本州の各地の森林の日当たりのよい場所に自生しており、暑さ、乾燥、日差し、寒さ、風などに強く、比較的育てやすい苔です。日当たりや乾燥に強いので屋上緑化に使われたり、庭のグランドカバーなどにも使用されています。苔盆栽などにもオススメです。
ヒノキゴケ(檜苔)
ヒノキゴケは、毛足の長い茎がふわふわのシッポのように見えることから「イタチノシッポ」とも呼ばれています。ふわふわに伸びた柔らかく鮮やかな緑色が人気で、テラリウムやアクアリウムの素材として使われるほか苔庭にも使われています。主に山や林の中の湿った腐葉土の上や谷、沢の斜面のような水辺の近い湿度の高い場所に生息していいます。檜苔を育てていて伸びすぎたり、茶色くなった場合にはその部分をカットしてお育てください。
ビロード苔
ビロード苔は、一般的にギンゴケやホソウリゴケのように短めの葉がビロードのように美しい光沢をはなって広がる苔のことを総称してビロードゴケと呼ばれています。乾燥や寒さなどにも強く、育てやすい苔ですが夏の蒸れは苦手なので、注意が必要です。緑の美しさから、盆栽の化粧などにも使われています。
小壺苔(コツボゴケ)
こつぼ苔の葉は透明感があり明るい緑色で艶っぽい卵型をしています。日本に広く自生している在来種の苔で、盆栽、苔玉、苔庭・テラリウムなど用途も様々です。日陰から半日蔭の湿潤な環境を好みますが、日当たりのよい場所でも自生して苔もあり、環境に適応できる丈夫な苔です。ただし、夏の強い日差しや乾燥などには弱いので注意しましょう。
忍苔(シノブゴケ)
しのぶ苔はハイゴケの仲間で横に這うように成長し、マット状に広がっていきます。乾燥にはある程度強いですが、日当たりが良よく乾燥している場所では美しい緑になりません。日陰の湿り気のある環境で育てることが美しい緑を保つポイントです。葉はハイゴケに似ていますが、より細く繊細です。細かく枝分かれした葉が美しく、乾燥しても縮みが少ないので、苔玉、盆栽、テラリウム、苔庭などの用途に使われています。
白髪苔(シラガゴケ)
葉が白みを帯びた緑色をしており、乾燥すると葉先がより白っぽくなることからシラガゴケという名がついたといわれています。白髪苔は日本に広く分布しており、日陰で直接雨の当たらない木の根元などにマット状に自生しています。シラガゴケ科の中では大きめの種類で、こんもりとした見た目をしています。苔盆栽や盆栽の化粧によく使われます。
杉苔(スギゴケ)
スギゴケの大トレーです。庭園苔として石組みと相性が良く最もよく使われる苔です。お寺から一般のお庭まで日本全国で使われています。杉の葉に似ていることから杉苔と名付けられました。日当たりの良い明るい場所で生育します。苔の中では大柄な苔で茎は伸びると背丈が10から15cmくらいまで成長します。乾燥していると葉を閉じますが水を与えるとまた元気に葉を広げます。水が不足しているサインなので水をしっかりあげましょう。大柄で背丈の長い苔なのでテラリウムなどにもお薦めです。
玉苔(タマゴケ)
かわいい丸い胞子体が人気のタマゴケ。繊細でふんわりとした柔らかな葉が特徴でテラリウムによく使われています。玉苔は日本全国の山間部に多く群生しています。比較的明るい半日陰の場所を好み、夏の暑さには弱いので、夏の気温が高い時期や高温による蒸れには注意が必要です。逆に寒さには強いので涼しい環境では成長が早まります。11月から1月頃から胞子体をつけ2月から4月頃に玉苔の名の由来ともなっている丸い球体の朔(さく)をつけます。
苔の基本の育て方
置き場所
苔によって生育環境がことなります。日当たりに強いか弱いか、乾燥に強いか弱いかで置き場所を考えます。もともと自生している環境とできるだけ同じような環境を作ることが苔管理の肝になります。
山苔やギンゴケは半日陰を好みますので、直射日光のあたらない、木漏れ日があたる明るい日陰や室内では2-3時間光が当たる場所に置きます。
スナゴケやハイゴケは比較的日当たりに強いです。
多くの苔にあてはまることですが、夏場の蒸れには弱いので、風通しの良い場所がいいです。
水やり
水やりも苔の種類によってやり方は変わります。山苔などは、乾燥に強いので表面が白っぽくなってきたらたっぷりと水を与えるとよいです。
砂苔や這苔などは常時しめっているぐらいがちょうど良いので、水やりの頻度は高めです。
夏場の蒸れには弱いので、日中の温度が上がるときは水やりを避けたほうが無難です。
苔ギャラリー
苔のお手入れ 年間作業
肥料
苔は基本的に肥料を必要としません。水を与えるだけで十分ですが、真夏などは水を与えすぎた状態だと蒸れてしまい黒っぽくなってしまいますので、風通しの良い所で日中の水やりはさけて管理します。
剪定
基本的には剪定作業は必要ありませんが、部分的に茶色くなった葉を取り除いたり、葉先が茶色くなっている場合はカットしたりすることで常緑を維持することができます。