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盆栽にとって鉢は、自然の情景を完成させる上で大変重要な役割を担います。
ほうきを逆さにしたような形のもみじやカエデは浅い小判型の鉢に植えて大木感を出したり、
幹が右に左に曲がりながら太く上に伸びる松などは、深めの長方形の鉢でどっしりとした風格を演出します。
盆栽の世界にはこの樹のこの形状にはこの鉢といった定石があります。
最近ではその枠にとらわれない自由な発想とインテリアに合わせたファッション的なところから鉢を選んだりします。
そうなると衣服のようなもので、伝統の和服を着るのか、モダンな和服にするのか、はたまた洋服か、
私的には自分の気に入った鉢に植えるのが一番だとは思うのですが、ひとつ頭に入れておかなければならないことがあります。
鉢によって育て方の難易度が変わるということです。
まず大きさです。
大きいほうが土も多く入るので水持ちがよくなります。頻繁に水を与えられない人は大きめの鉢がいいです。小さい鉢は夏場はとくにすぐ乾いてしまいます。
では大きい鉢が良い?
でも大きい鉢は、根っこが成長しやすいので樹も大きく成長してしまいます。形状を整える剪定も大変になるかもしれません。
次に注意する点は、鉢の材質です。
一般的に盆栽は陶器鉢を使用します。プラスチックの鉢や黒いビニールポットなどで育てることもできます。
プラスチックやビニールは通気性が悪く、熱がこもりやすいので蒸れてしまい根を痛める恐れがあるので、置き場所や管理の仕方に工夫が必要になりますので、やはり陶器鉢を使用することになると思います。
陶器鉢ならどれでも一緒かというと、そうではなく、それぞれに違いがあります。
焼き物の産地特有の土や窯による違いや、釉薬(ゆうやく)です。つるっとした光沢やてかりなどのガラス質の風合いを釉薬という液体薬品をかけて焼き上げて作ります。
釉薬をかけずに焼いた鉢を、素焼き鉢や駄温鉢と呼んだりします。ぱっとイメージするのは園芸でもよく使われる茶色い鉢だと思います。
これらの鉢は空気もよく通り、鉢自体が保水します。夏の暑い日などは鉢に保水された水分が蒸発することで、鉢の中の温度を下げる効果がありますので、樹にとっても優しかったりします。
ただし樹の成長にとってはいいですが、通気性が良い分、用土が乾きやすいので頻繁に水を与えなければならなくなります。
一方、釉薬のかかった陶器鉢は空気や水が通りにくい分、乾きは遅くなりますので、水やりは楽ちんです。
形状や材質、産地によっていろいろともっと細かい機能的な違いがあったりします。
もうすぐ3月、植え替えのシーズンがやってきます。どの鉢にしようかと考えていた人は参考にしてください。
いろいろあってわからない。結局どれ選べばいいの?
そうなりますよね。絶対。
なので、こう結論づけたいと思います。
「見かけが気に入った鉢を選べば良い」
どんな鉢でも、あなたの樹はあなたの選んだ鉢を気に入ってくれることでしょう。
あなたのお好みはどれ?
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